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第1章 概要
Webテキストは、紙に印刷されたものより見やすいとはいえません。
でも、「漢字と仮名(ひらがな、カタカナ)のバランス」を工夫すれば、
見づらいという印象を解消することができます。
本記事では、
どんな場合に漢字で書き、どんな場合にはひらがなで書くべきか、
その指針を示します
第2章 漢字をひらく
漢字で書ける語句をひらがなで書くことを編集用語で「ひらく」と言います。
その逆に、ひらがなの語句を漢字で書くことを「とじる」と言います。
漢字で書ける語句は全て漢字で書くのではなく、
ある語句はひらがなで書いた方がぐっと読みやすくなります。
本章では、どんな語句が、
開いて書くべきなのか、あるいは閉じるべきなのかの原則を示します。
第1節 ひらがなにすべき語句
本節では、ひらがなで書くべき語句を示します。
本記事で示す語句以外にも、ひらがなで書くべき語句がまだまだあります。
ここで示す語句から
どのような語句をひらがなで書くべきなのか、
その傾向をつかみ取っていただけるのではないかと思います。
本節の記事は、下に示すページの記事を元に作成しました。
読みやすい文章にする方法
ひらがなと漢字の使い分け | フリーライターのよりどころBlog
「ひらがなと漢字の使い分け」をキーワードに検索すれば、
他にもたくさんのWebページが見つかると思います。
第1項 副詞の場合
第2項 接続詞の場合
第3項 その他の例
第2節 場合によって使い分ける
読みが同じ語句の場合、ある場合には漢字で書き、
別の場合ではひらがなで書くというおおまかな原則があります。
本節では、その原則を紹介します。
本節記事の内容を書くために参照したWebサイトは、
もう無くなってしまったようです。
第1項 普通名詞と形式名詞
名詞といっても、次に示すようにいくつかに細分化されています。
普通名詞、固有名詞、代名詞、転成名詞、形式名詞
なかには、「とき」、「もの」、「こと」などのように同じ読みであっても、
普通名詞として使われる場合と形式名詞として使われる場合があります。
これらは、普通名詞として使われる場合には漢字で書き、
形式名詞として使われる場合にはひらがなで書くことが通例となっています。
えんぴつ、シャーペン、消しゴムなどのように、普通の一般的な名称のことです。
形式名詞は、本来の意味の薄れたものです。
それ単体では名詞として機能せず、
かならず連体修飾語を受けて名詞としての機能を果たします。
「とき」「もの」「こと」「ほう」「ところ」などが形式名詞です。
(1)「時」と「とき」
「時には手を抜くことも必要だ」
「イチローが満塁ホームランを打ったその時」
など、特定の時期や時点を示すときは漢字の「時」を使うといいでしょう。
一方、
「余裕がないとき」
「階段を上ったとき」
のように、
状況や仮定、条件を示すときは、ひらがなで書いたほうが直感的に
わかりやすくなります。
(2)「物」と「もの」
「物を投げる」
「物を選ぶ」
といったときは、漢字の「物」がふさわしいです。
「ものわかりがいい」
「ものにする」
のような場合は、ひらがなにしたほうがしっくりきます。
(3)「事」と「こと」
たとえば
「大変な事が起こる」
の場合、
「大変な」を除いて「事が起こる。」としても文法的に文が完結するので、
この「事」は普通名詞であり漢字で書けるということになります。
「そんなことはない」
「思ったことを話しなさい」
などの「こと」は、形式名詞です。
このときの「こと」は、ひらがなで書きます。
形式名詞は、かならず前に修飾語があります。
前の例でいえば「そんな」や「思った」が修飾語です。
それを除くと「ことはない。」「ことを話しなさい。」となって、
元の意味から大きく離れてしまいます。
というのも、これらの「こと」は、
「そんな」が指す内容(対象)や「思った」内容(対象)を漠然と指しているからです。
文法的にいえば、形式名詞は単独では主語になれない、ということです。
(4)「所」と「ところ」
「目立つ所に花を置く」
この場合の「ところ」は場所を表しているので、漢字で書きます。
一方、
「聞くところによると、あのお店は繁盛しているらしい」
の「ところ」は、形式名詞です。
「聞く」という修飾語が無いと、元の意味から大きく離れてしまいます。
第2項 動詞と補助動詞
本項では、読みが同じ場合の動詞と補助動詞の扱いについて示します。
動詞は漢字で書き、補助動詞はひらがなで書くのが原則となります。
(1)「頂く」と「いただく」
「頂く」という文字は、
「もらう」(他に「食べる」「飲む」など)という意味の動詞の謙譲語ですから、
「もらう」などの意味がある言葉なのです。
「お土産を頂く」の「頂く」は、
「お土産」という名詞に「を」という助詞を付けた後の「もらう」という意味の
動詞であることは明らかです。
特定の意味を持たせる動詞は、漢字で書かなければ意味は生かせません。
ですから、「お土産を頂く」は、
漢字で書かなければならず、「お土産をいただく」ではだめなのです。
一方、「参考にしていただく」の場合の動詞は、
「参考にする」の連用形「参考にして」(または「する」の連用形「して」)です。
動詞はこれに尽きているのです。
それに付け加えられた「いただく」は、
その前に位置する動詞を補助する補助動詞にほかなりません。
補助動詞には、動詞本来の意味は無くなっているか、
あっても薄いものになっています。
「参考にしていただく」の「いただく」に
「頂く」という漢字の意味はほとんど感じられないはずです。
ですから、この場合は、ひらがなで書かなければならないのです。
(2)「下さい」か「ください」か?
漢字の「下さい」は、「下さる」という動詞の活用形。
意味は「頂く」と同じです。
この場合も、
「お便りを下さい」
「お菓子を下さい」
という場合は、漢字で書きます。
「話してください」(「話す」が動詞、「ください」は補助動詞)、
「教えてください」(「教える」が動詞、「ください」は補助動詞)
は、ひらがなで書きます。
(3)「致す」と「いたします」
「致す」は、
「届ける。至らせる。及ぼす。仕向ける。」などの意味の動詞です。
たとえば「思いを致す」などという動詞と使うにはよいのですが、
「お詫びいたします。」
「お願いいたします。」(「詫びる」が動詞。「いたします」は補助動詞)
というような補助動詞として使う場合はひらがなで書くことになります。
なお、「致し方はない」という場合の「致し方」は名詞です。
名詞は、基本的には漢字で書きます。
(4)「見る」か「みる」か?
「見る」は、視覚または視覚以外の感覚で物事を捉える意味の文字ですので、
「顔を見る。」
「味を見る。」
「人生を甘く見る。」
「意見の一致を見る。」
など動詞として使う場合は漢字で書きます。
動詞の連用形に 「て」や「で」が付いた 補助動詞として使う場合は、ひらがなで書きます。
「実行してみる。」
「試してみる。」
「そう言われてみると本当にそうだ。」
「彼はまだ生きているとみられている。」
などです。
(5)「言う」か「いう」か?
「言う」は、口を開いてものを言う動詞として使う場合にのみ使われ、
実質的には「言う」という意味を失っている場合や
動詞としての機能を失っている場合は「いう」が使われます。
「彼は『俺は秀才だ』と言っている」
「文句を言う」
「正直に言う」
「言い争う」
などは、動詞ですので漢字で書きます。
「弁護士という職業」
「そういうこと」
「台風が来るというが」
「顔といい、声といい」
「君という奴は」
「といっても」
「そういえば」
などは、口を開いて言葉を出す「言う」の意味はないか
薄いのでひらがなで書くことになります。
(6)「置く」か「おく」か?
漢字の「置く」は、
「机の上に花瓶を置く。」
「役員を置く。」
「相談所を置く。」
など、動詞として使うときに使われます。
しかし、補助動詞その他、漢字本来の意味がないときは、
ひらがなで「おく」と書きます。
「通知しておく。」
そのままにしておく。」
明確にしておく。」
などです。
(7)「付く」か「つく」か?
動詞の「付く」は、「くっつく」こと、「付着する」ことですので、
その意味の言葉として使う場合は漢字を用います。
たとえば、
色が付く。秘書が付く。護衛が付く。知恵が付く。先生の後に付く。決心が付く。名前が付く。
などです。
「付く」の意味がないか、薄いものであるときは、
「つく」とひらがなで書くことになります。
たとえば、
「浮つく。近づく。高くつく。まごつく。決心がつく。思いつく。」
などです。
ただし、これらの原則のとおりに書くと、
かなだらけの非常に読みにくい文章となる場合があります。
こういう時は、上記原則を破り漢字で書きます。
その方が読みやすくなります。
たとえば、
報告していただいたとおりに → 報告して頂いた通りに
話してくださっさたことは → 話して下さった事は
第3項 その他
(1)「前」と「まえ」
「バス停前」「駅前」など
具体的な位置を示すときは、漢字の「前」で書きます。
「すこしまえ」「スポーツのまえ」のような
時間を示すときは、ひらがなの「まえ」を使うとわかりやすくなります。
(2)「方」と「ほう」
「方」と「ほう」も読み手に誤解されやすい言葉です。
たとえば、「市役所の方」とあった場合、
「市役所の方角」なのか「市役所に勤めている人」を指しているのかは、
前後の文章を読まないとわかりません。
この場合は、
方角を表す場合は、ひらがなの「ほう」を、
人を表す場合は、漢字の「方」を使うのがいいでしょう。
(3)「通り」と「とおり」
「海浜通り」など、「道」にかかわる場合は「通り」ですが、
「彼が今言ったとおり」などの使い方の場合、「とおり」とひらがなで書くのが
本来の 日本語だと思います。
以上